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【屈腱炎の発症メカニズム】元馬術選手のコラム

今回は「屈腱炎の発症メカニズム」について書いて行こうと思う。・・・と言っても私自身は獣医学者でも何でもないので、あくまでも一般論、学科的なレベルでの記述になりますが、宜しければご一読ください。



発症メカニズムは「不明」

いきなりタイトルに反した事を書くのもなんだけど、実は「なぜ屈腱炎になるのか」と言う基本的なメカニズム自体がまだ解明されていない。つまり「どうして屈腱炎になるのか」がそもそも良分かっていないので「どうすれば予防できるか」と言う手段の構築まで話が進まないのだ。

ただ、「運動負荷の継続・蓄積」により起こるとは推測されていて、確かに実際、馬術や乗馬の馬が屈腱炎になったと言う話は聞いた事がない。つまり、軽めのキャンター程度の負荷ならほぼ100%屈腱炎にはならず、競馬の障害レースよりも遥かに高い120cm障害の飛越・着地なんてのも屈腱炎とは無関係と言う事にはなるんだろう。

とは言っても、馬房で休ませる前には確りタオルを脚部に巻いて、ホースで水をかけ続けてアイシングはするけどね。

そもそも屈腱炎とは

そもそも屈腱炎って何?と言う話になるけど、「屈」と言われる「腱」があり、これが部分的に断裂して炎症を起こして痛みを伴うのが屈腱炎だ。かなり大雑把に人間にも「アキレス」と言われる「腱」があるのと同義と解釈すると良いかもしれない。

「腱」は骨と筋肉を結び付ける役割を果たしているコラーゲンで形成されている組織で、運動の際に伸び縮みする。大体、骨と筋肉を繋いでいるゴムのロープだと思っていれば良いと思う。

ゴムのロープが伸びると言っても、乾燥していてボロボロになっていたり、許容できる強度以上に引っ張ったり、何度も素早く引っ張ったり、そもそもの伸縮性が低かったりすると、いつしかどこかのタイミングで断裂してしまう。こうした理由で屈腱炎が起こるのでは?と言われているワケだ。ただ、屈腱の場合、全断裂という事は稀で、多くの場合は部分的に断裂して炎症を起こす。

ただ、上記のロジックで行くと、腱をギッチリ目一杯伸ばすのは競走中の事であり、調教中には発症率が下がる事になる。ところが15-15などのあまり重くない調教でも屈腱炎が発症する事もあるので、単純に「運動強度の強さと発症確率が比例する」とも言い切れず「運動披露の蓄積」も原因であるとされるらしい。

牝馬の方が発症率が有意に低いという統計結果が出ており「牝馬の方がコラーゲン繊維が湿潤に富んでいて伸縮幅が大きい」ため発症率が低い、とする説もある。



なぜ再発しやすい?

屈腱炎が何故再発するかは、ある程度分かってきている。

例えば、10本のゴムロープの束を引き伸ばして、1本が切れてしまったとする。この状態がが屈腱炎だ。

この時、馬の体は屈腱炎を「切れた1本のロープを消滅させて、新しいロープを作り出す」事によって治そうとする。この「新しいロープを作り出す」のがクセ者で、エコー写真上では2~4ヶ月もすればあたかも完全に回復しているように映ってしまうらしい。

ただ、最近の研究ではこれは「瘢痕組織」と呼ばれる、脆弱な状態の組織にすぎず、耐久性を持った状態にまで修復するには更に長い年月が掛かると言う説が注目されつつある。

つまり、

1.エコー写真上は治っていると思われる

2.運動開始

3.でも実際は脆弱な状態の仮ロープなので、以前より断裂しやすい

4.再発

という悪循環に陥るため、屈腱炎は再発しやすいのだという。

つまり、更に長い年月をかけ、腱を完全に近い状態まで修復した段階で運動に入れば、再発リスクは抑えられる、と言うのが最近の学説だ。

終わりに

とりあえず、一般的な事をつらつらと書いてみたけど、冒頭書いた通り屈腱炎はまだまだ謎が多い。このため、学者によっては違う事を主張するだろうし、年月の経過によって認識も変わってくる。10年前はこんな説は無かったと思うし、やはりまだまだ研究を重ねて、治療法・予防法共に進歩するんだろうと思う。

優れた獣医学者が発症原因を完全に解明してくれれば、大きく状況が改善されるんだろうけどね。








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