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質問回答:外厩からの直接出走はアリ!?

久しぶりにフォロワーさんからの質問に答えていく。






質問:アラシさん、いつも興味深く拝見させて頂いております。ツイッターで外厩について呟かれていたのでご質問します。昨今、ノーザンファームしがらきや天栄などの外厩が目覚しい発達を遂げていますが、現在のJRAには「10日規定」があり、出走馬は出走まで10日以上の間、トレセンに滞在しなくてはならないとあります。

もし、外厩から直接出走が出来るようになれば、輸送面などにおいてメリットがあると思うのですが、いかがでしょうか。

アラシの回答

A.直接出走出来るようにルールを改定するのは特に反対しない。ただ、直接出走は普及しないと思う。

質問者さんのおっしゃる通り、近年はノーザンファームを中心とした外厩の発達が著しく、厩舎運営に大きな影響を及ぼしていると認識している。

外厩で馬をある程度まで仕上げ→厩舎で最終調整を施し→レースに出走→何度かレースを経た後、再度ファームに放牧・・・と言うルーチンを早める事によって、厩舎で馬房の空きを確保出来るようになり、所属馬の出走回数を増やしたり、多くの馬の預託を引き受ける事が出来る様になったのが大きな特徴だ。

ファームのスタッフも元調教助手だったりジョッキーだったりした人達も揃っていて設備も充実化しているので、今やその気になればレースに向けての最終調整も可能になったとすら言えちゃうワケだ。

その上で言及すると、外厩から直接レースに出走させると言う事が可能になったとしても、それを積極的に活用する調教師は非常に少数になると思う。

以下、カテゴリ毎に細分化して言及していく。




最終調整後の状態確認の問題

仮に外厩からの直接出走が可能になったとして、外厩で最終追い切りが行われたとする。

その際、追い切り後の状態確認が入ってくるワケだが、これが調教師や調教助手によって行われないと不具合が出る。

2015年にジャパンカップを制したショウナンパンドラは同年の有馬記念に向かう予定だったがトレセンでの最終追い切り直後に、微細な呼吸の乱れが発生、異常とまでは言えないレベルではあったが大事にと言う事で、調教師の判断でレース数日前に出走を取り消した。

仮にこういった事例が外厩で起きた場合、どうなるか。急いで調教師に連絡を取って来場して貰っても「追い切り直後に少し様子が変だった」と言う事を言葉や録画で伝えるだけでは判断が難しい。これでは出走可否を適切に決められないし、何より、オーナーに対して説得力のある申し入れも出来ない。

つまり、最終追い切り後の馬の状況変化をその場でリアルタイムで把握できないのであれば、G1やその他の重賞競走と言った大目標として定められるレースでの最終調整として外厩を使うのはリスクが高くなってしまいその活用範囲は、出走取り消しをしても次の番組を探せるような条件馬に留まるのではないか、と言うのが私の見解だ。

そもそも大レースの最終追い切りを自分の目で確認しない調教師がいたら、その時点でホースマン失格に近いと思うのだが。

※それなら外厩での最終追い切り時にだけ調教師が外厩に出向けば、と思う方もいるかもしれないが、その場合はトレセンにいる管理馬の追い切り全てを見ずに外厩に出向いてしまう事になり、こちらも本末転倒だ。




育成方針決定の問題

先述と一部重複するが、馬の育成方針決定も調教師が自分で馬を見て確認して決定するのがナンボだ。

もし外厩から直接出走をするとしたら、その馬は前回のレースから一度もトレセンに戻らず次のレースに出る事になる場合が圧倒的に多くなると思われる。そうならないとおかしい。外厩→トレセン→外厩→出走・・・と言う得体の知れない手間など無いのだから。

つまり、外厩から直接出走する場合は、必然的に調教師がその馬と接する機会が減ってしまい、本来育成方針を決めるべき調教師がその馬に対して情報力不足になると言う不具合が発生する

助手「この馬の調教方針なんですが・・・」

調教師「最近、その馬はまともに見てないから知らん。天栄に聞いてよ

これも先に書いたが、ホースマンは馬を見てナンボの職業である以上、一定時間以上は管理馬と同じ屋根の下で働かないと、どう調教して良いのかと言う答えが見出しづらい。2週間~3週間程度は、確りとその馬を見る時間を取るべきだ。

というか、馬を見ようとしない調教師なんていないと思うから、やはり直接出走を行う頻度は自ずと頻繁にならないと思うワケだ。





オーナーからの信頼に対する問題

これもある程度先述したが、自分の管理馬を自分の目で見ず頻繁にファームからの直接出走を行う調教師がいたら、オーナーがその調教師を信頼するだろうか?

これじゃあ誰でも一緒じゃん。こいつじゃなくてもええやん。

となるのは目に見えている。

直接出走をたまに使う分には良いにせよ、頻繁に取り入れる厩舎はホースマンとしての資質を疑われかねない。少なくとも自分が馬主だったら、まともに馬を見てくれない調教師さんには預託したくはない。

そもそも輸送に問題が少ない

外厩直接出走の支持論者の方は「直接出走を行えば、外厩→トレセン→競馬場の輸送手間を省けて、外厩→競馬場の輸送だけになる。このため馬への負担が軽減出来て、メリットがある」と唱えている方が多いと認識している。

この考え方はかなり手厳しい言い方になるがハッキリ言って短絡的な素人見解でしかなく、馬の管理手法としての観点から言って殆ど間違っている。

馬が馬運車の中で負担を感じているのは事実だ。科学的にも立証されいる。馬を馬運車で輸送すると、その走行中は

・呼吸回数が1分間に50回~60回まで上昇する(平常時は1分間に20回程度)

・心拍数が1分間に40回~60回まで上昇する(平常時は1分間に30回~40回程度)

と言った体調面での変動が起きる。12時間を超えるような長時間輸送を行うと輸送熱を発症する事があるのは、呼吸回数が増えた事により器官が乾燥し免疫力が低下するためだ。

ただ、これは輸送で馬にかかる負担のごく一部でしかなく、実際は以下の要因も輸送負担に関わってくる。上記の素人論では普通、下記の影響が全く考慮されていない。

1.輸送先の馬房・施設でのストレス

馬は輸送先での滞在する事になる馬房・施設が「安全な場所かどうか」と言う不安を感じる。慣れるまでには個体差はあるが1~2週間程度必要。見知らぬ馬房に移動させると不安からカイ食いが落ちたり、緊張して疲労が蓄積する等の影響が出る場合がある。逆に言えば、知っている場所の知っている馬房に戻すのあれば、基本的に悪影響は出ない。

つまり外厩からトレセンへの輸送は、そもそも馬運車に乗っている時間も1~2時間程度と短く、しかも馬自身が知っている先に戻るのだからこの輸送に大して気を遣う必要は無いと言う事になる。

下記も参考にされたし

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/keiba/keiba/2013/04/24/post_114/index.php

2.知っている人、馬がいるか

これも馬にとっては(個体差あれど)問題。馬は、他馬のみならず人間をも個体毎に識別出来る知能を持っていて、周囲に知っている馬や知っている人間がいる方がより安心する。

馬房替えを行うと1週間程度はソワソワする。(隣の馬房の馬と頻繁に鼻をこすりつけあって自己紹介をして親密になっていく)

いわずもがな、外厩舎→トレセンでの移動だと、知っている人と知っている馬が多くいる環境に戻る事になるので、この点も悪影響が基本出ない。

なのでファーム→競馬場=輸送手間の軽減→馬の負担減とは殆どならないのだ。

まとめ

という事で色々と直接出走について言及したけど、

結論は最初に述べたとおり

・導入に反対はしないが、導入しても活用は少数に留まり普及はしない

と言う事になる。

その理由は

・調教師の管理が行き届かない

・調教師が育成方針を見出しにくくなる

・調教師がオーナーからの不信を招きかねない

・専門的な見地から見て、支持論者が言っているほど輸送に問題性を感じない

と言う事だね。

ご参考になれば幸いです。









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